二礼二拍手一礼のホント 神社参拝のお作法とは

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たま
たま

あかるさん、あかるさん!

あかる
あかる

どうした、たま?

たま
たま

なんで人は神社で「パンパンッ」ってするの?

あかる
あかる

柏手(かしわで)のことだな

じゃあ今日は、ご神前のお作法について話そうか

ニ礼二拍手一礼とは

あかる
あかる

いわゆるニ礼二拍手一礼だけど、実は別に決まりではない

たま
たま

え、でもやってねって言わるよ?

あかる
あかる

わりと最近広まったやり方だよ

そもそもあれは略式なんだ

神社では、「ニ礼二拍手一礼」での参拝をお願いされますよね。

深くニ礼して、二回拍手を打ち、祈り終えたら一礼です。

実はこのお作法、始まったのはごく最近のことです。

始まりは明治。昭和に入ってから確立し、広まったのは平成とも言われます。

神道は縄文時代の自然信仰が起源です。数千年……下手をすると一万年以上という古い歴史を持ちます。

つまり、ニ礼二拍手一礼のお作法は、かなり後で作られたということです。

あかる
あかる

古い神道の流派が今でも残ってるけど、教わるお作法は別物だったりする

元来、お作法は限られた神職の方が行うものでした。

一般の人にとっては、特に決まったやり方はありません。

「敬意と感謝」を表せるなら何でもよかったりします。

あかる
あかる

ちなみに、あかるも普通に一般人だ

たま
たま

たまは、一般ネコ~

しかし、敬意と感謝と言われても、「どうしたら?」となってしまうのではないでしょうか?

それに、せっかくなら神道っぽい特別な動作をやりたいもの。

「じゃあ、一番略式のやり方にしよう」

と誰が言い出したかは定かではありませんが、ニ礼二拍手一礼が一般的になりました。

たま
たま

じゃあ、一般の人はパンパンやらなくていいの?

あかる
あかる

ご神前で無礼を働くくらいならやった方がいいよ

ただ、それに囚われる必要はないということだ

礼と拍手の意味

ここからは、「やっぱりお作法ちゃんと覚えてやりたいよ~」という人向けです。

礼も拍手も、動作としては極めてシンプル。

しかし、その中には膨大な意味と効果が織り込まれています。

その一端を少し紹介すると……。

⦿礼

二度の礼は、「天神・地祇(てんじん・ちぎ)」に捧げます。

天神は「天津神(あまつかみ)」とも言い、日本神話で初めの方に登場する天担当の神々です。

地祇は「国津神(くにつかみ)」とも言い、地上に現れた神々を指します。

「天地人」という言葉があるように、天と地のお働きによって、人は初めて生かされています。

お陰様で生まれて来ることができました。今日も生きることができています。

それを事実であると確認し、天と地に敬意を払うのが二礼です。

最後が一礼なのは、祈りによって天と地が人の中で統合し、一つに結ばれたことを表すとされます。

あかる
あかる

諸説ありだ

動作としては、礼は腰ではなく、股関節から90度に曲げます。

股関節の力を抜き、背骨と骨盤のつなぎ目にある「仙骨」という骨を後ろに送ることで、自然に体を折るのがコツです。

あかる
あかる

ちょうどお尻が突き出るような感じになるぞ

この動作を行うと、下半身と上半身の気が繋がり、全身の循環が良くなります。

天と地が揃って初めて人が存在するように、人の上下の気をしっかり結んでご神前に立つのです。

⦿拍手

柏手を打つ時は、両手のひらを合わせてから、右手を少し手前に引きます。

理由はいくつかありますが、意味的なものと物理的なものを1つずつ紹介します。

意味的には、人の左半身は過去右半身は未来を司ります。

過去とは由来、つまり原因の世界を現すということです。

神さまは原因の側にいらっしゃいますから、後から生まれた自分は一歩退き、神さまを立てるという意味合いがあります。

あかる
あかる

これも諸説ありだ

どれなのかというより

重ねられているのだと思う

物理的には、やってみると話が早いです。

両手のひらを揃えた状態と、右手を少し下げた状態を比べてみてください。

右手を下げたほうが、手のひら同士がぴったりフィットするはずです。

あかる
あかる

いい音が鳴るんだわ~

同時に、柏手を打つと骨が振動し、全身に波及します。

柏手には「魔を祓う」効果があるとされ、音の振動と骨の振動によって人の身体・意識・空間から良くないものを祓うのです。

たま
たま

たまも汚れたら

カラダぶるぶるってやる~!

あかる
あかる

周りに気をつけてやるんだぞ~

たま
たま

あい!

二回打つ理由は、これにもさまざまな謂れがあります。

ですが、物は試し。

一回と二回で打ち分けてみてください。

二回の方がしっくりきて、祓われた感じがしないでしょうか?

あかる
あかる

これはもう感じ取ってくれ

たま
たま

(ぺち、ぺち)

……??

お作法に特別な決まりはありませんが、せっかく色んな意味と効果を込めたものです。

ぜひ覚えてやってみてください。

参拝の流れ

いよいよ参拝です。

基本的には、自由に、敬意を込めて臨めば大丈夫です。

しかし、「ちゃんとしたい!」という方のために、参拝の仕方を解説します。

  1. 神社のご由緒とご神名を確認する
あかる
あかる

そもそも「どこの・誰を」訪ねるのかって話だからな

特にご神名は大事です。

神さまには、それぞれ得意分野があります。

祈る内容に応じて担当が違うので、ご神名と何担当の神さまなのか把握しておきましょう。

 2. 持ち物に動物性製品は持たない

神さまは「獣の気」を嫌います。

動物を差別しているのではなく、「特定の種類の気」を忌むのです。

動物性製品は、商業的な理由で殺生された動物から作られます。

人の欲望の塊みたいなものなので、避けるのが無難です。

たま
たま

しゅん……

あかる
あかる

よしよし

 3. 鳥居に入る

鳥居は、俗世とご神域の境界に立っています。

何気なく入ると、どうなるでしょうか?

ご神域に俗世の気を持ち込むことになり、いわば「土足で上がる」ような感じになります。

玄関の前でコートを脱ぐ。靴を脱いでから上がる。

それと同じように、そのまま入るのは考えものです。

まだご神前ではないので、会釈くらいの角度で一礼してから入ると良いでしょう。

あかる
あかる

「神さま、お邪魔いたします」

という気持ちでくぐるといいよ

 4. 御手水で清める

手水舎で手と口を清めます。

神道的には、日本神話で「伊耶那岐大神(いざなぎのおおかみ)」が「禊祓(みそぎはらい)」を行ったエピソードが由来です。

古い時代に、疫病対策のために天皇の命で広めたという説もあります。

いずれにせよ、きれいにしてからご神前に立ちましょうということです。

今はコロナの影響や管理の問題で、御手水を止めている神社もあります。その場合は、ペットボトルの水を持参して行っても大丈夫です。

あかる
あかる

左手→右手→左手にすくって口

→最後に左手の順番だ

たま
たま

やっぱり左なんだね~

 5.初穂料・お玉串を捧げる

初穂料・お玉串は、お札を包んで神社に奉納します。

元来はお金ではなく、穀物など食べ物を捧げました。

意味は「人が生きるために欠かせないものを、お陰様に感謝して神さまに先に捧げる」です。

神が先、人は後という順番が大切だったりします。

ちなみに、玉串は榊(さかき)に紙垂(しで)をつけたお供物で、初穂はその年に最初に取れたお米のことです。

しかし、現物を用意するのは大変です。

貨幣経済の浸透や、神社運営の問題などもあり、今ではお金を捧げるのが一般的になりました。

これも生きるために欠かせないものを、先に神さまに捧げるという意味合いを持ちます。

たま
たま

たまの、おさかなを……

あかる
あかる

うん、ナマモノはよしておこう

一般的には、賽銭箱に入れるお賽銭の方が身近でしょう。

「ご縁があるように……」と5円玉を入れる風習もありますが、特に意味はありません。

お賽銭の始まりは室町時代。紙幣はまだ流通していませんから、賽銭として硬貨が捧げられました。

しかし現代では、少額硬貨は数えるのが大変で神社の方がご苦労します。

できれば、お賽銭は大きい硬貨か、紙幣が良いでしょう。

あかる
あかる

「神さま、いつもありがとうございます」

「神社さん、この場所をお守りいただきありがとうございます」

みたいな気持ちで捧げよう。

 6. 祈る

お作法に決まりはないものの、「二礼→二拍手→祈り→一礼」の流れがメジャーなので、それで大丈夫です。

鈴などの鳴り物は先に鳴らしますが、これはやってもやらなくても構いません。

意味は「魔を祓い」「神さまに自分が訪れたことを知らせる」というものです。

実は鳴らさなくても何の問題もないので、後ろの人を待たせないよう気をつけた上、お好みでOKです。

多くの場合、拝殿の前・賽銭箱の前などで祈ると思いますが、人の出によっては順番待ちが伸びます。

すぐに順番を譲って、少し離れた場所から祈っても良かったりします。

神社の建物の上空、一見何もない空間に意識を向けましょう。

「天の通い路」といって、その先が神さまと繋がっています。

そして、いざお祈り……

あかる
あかる

ちょっと待った!

ここで「お願い」する人がいるけど

「祈り」はまったく別物だ

祈りは「意」「宣り」から来ています。つまり「己の意志を宣言する」という意味です。

お願いは「何かください」という意味なので、祈りとは別物です。

いきなり何か貰おうとするのはやめておきましょう。

たま
たま

あかるさん、ちょっとお金貸してくんない?

あかる
あかる

と、いきなり来られたら嫌だろ?

つまりそういうことだ

祈りはまず、住所氏名を名乗ります。

あかる
あかる

「おぬし誰?」状態じゃ困るしな

それから「〇〇の神さま、守り給い、幸え(さきはえ)給え」と唱えます。

神さまは原因の世界の存在です。

良き原因が、良き結果をもたらします。

良き原因と縁を深めるのが大切なので、神さまの守護と幸いを初めに祈ります。

次に、お陰様への感謝を述べます。

お陰様とは、見えないところで神さまに守られ、助けられているということです。

あかる
あかる

人はすでに、かなり助けて貰ってるんだ

せっかく助けてもらったのに

自分で台無しにしちゃいけないよ

たま
たま

あい!

そして、いよいよ己の意志を宣言します。

己の意志とは、「こうしていきます!」「このために頑張っていきます!」という感じの内容です。

「そのために神さまの助けを借りることができたら幸いです」と締めくくり、祈りを終えます。

助けは、何もしない自分に代わって、誰かに何とかして貰うことではありません。

取り組むのは自分であり、一人の力ではできないから助けを借りるのです。

あかる
あかる

頂戴、頂戴は「餓鬼心」

今風に言えばテイカーだ

ぜひ気をつけよう

たま
たま

(うぅ……ごはん頂戴は我慢したほうがいいのかな?)

神社参拝は終えてからが本番です。

宣言通りに生きましょう。

宣言通りに生きていると、意志を叶えるためのご縁を神さまが繋いでくれます。

あかる
あかる

といっても、身近な神社では気負うことはないよ

悩み相談とか、日頃の感謝とか、わりと気軽で良かったりする

神社の神さまにも性格があります。

のんびり構えている方もいれば、性急な方もいます。

厳しい神さまに無礼を働くと、即座にバチが来るので気をつけましょう。

しかし基本的には、ずっと長い目で見守ってくれています。

ありがたい。ありがたい。

幸ひ給へ。弥栄(いやさか)にましませ。

たま
たま

……。

あかる
あかる

(今日は厳しい話もしたし、

 たまが少し萎れてるな)

たま
たま

(ごはん頂戴って、言っちゃいけないのかな……)

あかる
あかる

たま、今日は帰ったら、一緒に魚食べないか?

たま
たま

ピコン!

いいの?!

あかる
あかる

今日は魚にしたい気分なんだ

せっかくだから一緒に食べような

たま
たま

あい!